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@ssig33

UPQ 問題に関連して思い出したこと なんだけど、 ODM/OEM の多用による日本企業の空洞化が進んでいる分野というのは何も IT 業界や家電業界に限らなくて、ファッション業界もこれがすごい。というかこっちのほうが中国における産業の立ち上がりが早かったりもともと調達前提のビジネスモデルが発達していた分エレクトロニクス関連よりも状況が酷いかもしれん。

なんでもいいから適当な郊外型ショッピングモール 2,3 個を回ってみればいいのだが、特に区別もつけられないようなどうでもいい店が沢山あって、しかもどのショッピングモールに行ってもかならずほとんど同じような店が同じように入居している。

ではそういう店はいわゆるセレクトショップなのか?というと自前のブランドの商品を売っている。あれはなんなのかという、中国のファッション企業に「ブランドを一個お願いします」という形で発注するとブランドイメージを中国の側で作ってくれたうえで商品ラインナップがまるごと一つそのままやってくるという素晴しいビジネスモデルになっている。販売員などはバイトであることが多いから、最も極端にあれを表すと

  1. 中国にメールを送る
  2. イオンに出店させてもらう
  3. 在庫管理をする

ということだけ本社はやっている格好である。

なぜこのような空虚なビジネスモデルが発生したかというと二通りある。「これからの時代セレクトショップ(調達型のビジネスモデル)は終わり!!!製造小売業の時代」みたいな趨勢があったときに、現実問題として製造小売に転身できる企業はあまり多くなかったから、中国からブランドそのものを調達するようになったというタイプが一つ。もうひとつは、わりとまっとうな製造小売業をやっていたメーカーが闇堕ちしたケース。

こういうブランドを運営する企業の特徴はなにかというと、一つの企業で異様に大量のブランドを運営していることである。実際にファッションとしてのコアな部分であろうはずのブランドイメージの構築、デザイン、製造は全て中国がやってくれるからどんどん大量にブランドを作ることができる。ショッピングモールでよくみるアレとアレとアレとアレとアレとアレとアレが同じ会社みたいの調べてみるとびっくりしますよ。

現実問題として日本のファッション業界で強い二社を見ると

  • 低価格の実用品という観点で徹底的に自社で商品コントロールをしている強固な製造小売業のユニクロ
  • 古来からの調達型ビジネスモデルを堅持するしまむら

なのでこうした半端な「製造小売業」はほんとうに半端ものでしかないのだけども、ビビッドなビジネスモデルでやっていくにはしまむらの規模が必要なのだった。だがいずれにせよ大量に展開されるショッピングモールに機械的に店舗を出店し続けることはそうした半端ものの彼らにとっては大変なことなので疲弊は著しいという。

僕は元来あまり服に興味があるわけでもないし、小売についてはもっと興味はなかったので、こういう状況があることを知ったのは 2 年前に POS レジを作る仕事をしはじめてからなのだが、おおよそ 2000 年代中頃から十年ほどかけて現在のようなしょうもない状況が作られてきたらしい。

結果として日本中に恐しく空虚なファッションブランドを沢山抱えた空虚な巨大建造物が大量に存在するというとんちのような事態になっている。j

ちなみに僕は aliexpress で買った服を来ています、 5 着買うと 1 着ぐらいまともなのが来るみたいな世界観でガチャみたいで楽しい。

01 May 2017 Mon 12:05 (UTC)